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俺らのマネは地味子さん。

第5章 TWO





「小嶋やん。
わざわざ持って来たん」

「済みません。
ありがとうございます」

駐車場へ向かう最中、マネージャー小嶋が仁王立ちして待ち構えていた。

「気にするな白元」

「・・あの、あの子達は」

「あぁ、警備員が連行してちゃんと帰したから大丈夫だ。
怪我は無かったか?」

「はい、メンバーは大丈夫です」

「・・・」

あぁ、すばやんが言った事理解してねぇな。
っつか、ちゃんとわかってんのか?

そう言うニアンスを含めた表情を小嶋に向けると苦笑いを返すばかり。
これ、誰か教えてあげなーヤバイちゃうん?


「章ちゃん、出発するで」

いつの間にかみんなは車に乗り込んでた。
俺は慌てて白元ちゃんの手を引き、車に向かう。

「えっ?安田さん?!」

「早よっ、出発してまう」

亮の隣に白元ちゃんを押し込み、俺は後ろの席に座った。

「私、小嶋さんの車で帰りますよ」

「小嶋はこのまま真っ直ぐ奥さんの実家や」

「・・そうなんですか?」

知らなかったと表情が変わる白元ちゃん。
そのまま大人しく亮の隣に座ったかと思うと、鞄を漁り出した。

「うわぁ、ヤバイ」

聞きなれない動揺した言葉使い。
白元ちゃんの素ってこんな感じなん?

慌てた様に携帯を見開いてる。

初詣で普段と違う表情をしていたのはわかってる。
もしかして、仕事用のキャラがあるんか?

まだ、ちゃんと馴染めてないのは気付いてた。
それは俺たちだけじゃなく、白元ちゃんもや。

どこか1歩下がって俺たちを見てたと思ってたんや。
けどな、ほんまは違うんやろーな。

1歩下がって見てたんわ、俺たちの方かもしれん。
そう気付いたんや。






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