• テキストサイズ

俺らのマネは地味子さん。

第5章 TWO






ー安田sideー


「白元ちゃ〜ん」


後ろから大倉と歩いて来てた白元ちゃんに俺は、手を振った。

珍しくあの大倉が食べ物を分け与えてたのには、驚いた。
その上、自ら進んで買ってあげてる様に見えたんや。

いつも以上の笑顔な大倉。

何かしてあげたいと思ってるんは、お前だけやないんやで。


「どうかしましたか?」

足早に近付いて来る白元ちゃん。

「はい、あげる」

手に持っていたりんご飴を差し出した。

パッと花が咲いた様にほころぶ表情。
でも、躊躇するかのように視線が俺とりんご飴を行き来する。


「いつもお世話になってる礼やねん」

取って付けたかの様な言い訳。

本当はただ、買ってあげたかっただけ。
喜んでる姿を見たかっただけや。

でも、そう言えば遠慮がちにだが受け取ってくれた。

「ありがとうございます」

満遍な笑みが見れて満足していた俺の元へ、大倉がズカズカと近付いて来た。
その表情は、怒ってる様で拗ねている。


「大倉どーした?」

欲しい食べ物が無かったのか?と思いながら尋ねる。

「・・・なんでや」

「えっ?」

「何で今日1番の笑顔がヤスなん?」

そう言って先を歩き出した大倉。

えーっと、つまり、それって・・・
えっ?マジ?何で?

可愛い子しか興味が無かった癖に一体何があったんや?!

大倉の後ろ姿を見送りつつ、隣に立つ白元ちゃんを盗み見る。

うん、いつもと変わらん白元ちゃん。

いつもと同じ髪型に眼鏡に服装。
今日は、若干表情が優しいって事ぐらいしか変化は無かった。

うん、わからんわ。






/ 167ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp