第5章 TWO
帰り支度を済ませ、山田が運転席に座る送迎車へメンバーが乗り込んで行く。
開いた車のドアには、地味子が立ちメンバーを見送っていた。
ヨコの後は、俺だけ。
「・・・なぁ」
「はい?どうかされました?
忘れ物ですか?」
「何でや、ヨコと違ゃうで・・あんな、
「きやーっっ!!!すばるっっ!!!」
俺の言葉を遮る様に甲高い雄叫びが聞こえた。
エイターや。
一体どこから入ったんか、3人女の姿が見える。
「渋谷さん、早く!!」
俺を押し込める様に背中を押す地味子。
警備員がエイターに向かって制止するよう言っているが、あの興奮状態は危ねぇ。
俺は地味子の手を引き、車内に引っ張り込んだ。
「山田、出せっ!」
「捕まって下さい!!」
甲高いタイヤ音を鳴らし、車は急発進した。
「えっ?えっ?何で・・?」
何でって・・
わからんのかよ。
「お前女やろ?
あそこでエイターの相手してたらお前が危ないっうのわからへんのか?」
「・・・えっ?」
「っうか!すばる、早く退いてやッ!
重いわッ」
引っ張った勢いで座っていたヨコに乗りかかってた。
悪い、悪いと言いながら俺は後ろの席へ飛び移る。
「・・・座れば?」
足元に座り込んだ地味子へ、ヨコが声を掛けた。
あー見えて、人一倍人見知りなヨコ。
自分から地味子へ話しかけるのはこれが始めてかもしれん。