第16章 THIRTEEN
みんなでこーでもない、あーでもないと話してた。
その時、微かに震える携帯。
ポケットから取り出すと画面に出た文字を見て、俺は瞬きを繰り返した。
着信 ジャニーさん
あれ程音信不通だった社長。
デビュー時に携帯番号を知ってから1度も掛かってきた事はなく、掛けた事もなかった番号からの通知。
な、何で俺?!
俺は、メンバーから少し距離を取り電話に出た。
「もし、もし?」
恐る恐る出た俺に、2度目の衝撃が襲う。
【もしもし安田さんのお電話ですか?
私・・白元です】
「・・・・え」
【みなさんとご一緒ですか?
出来れば、私からだと気付かれたくないので
はい か いいえ でお答え下さったら助かります】
「は、はい・・」
頭が回らへん。
まさか、白元ちゃんから電話が来るとは思ってへんかった。
それも社長の電話からや。
現状を理解するのに精一杯な俺は、静かにゆっくりと話す白元ちゃんの言葉に耳を傾けてた。
そうか。
そうやったんやな・・
やっと、頭が追い付いた時 俺は一言しか言えへんかった。
「ありがとう」
【私の方がお礼を言いたいです。
安田さん、ありがとうございました】
「・・みんなと話すか?」
【ええ、出来れば。
落ち着いてる方でお願いします】
わかってるで。
白元ちゃんが何を考えてんのか。
俺はみんなを見渡し、その中でヨコちょを呼んだ。
「横山くん、電話や」
「え?俺?」
「章ちゃん、誰から?」
「・・社長、説教や」
「「ええっ!」」
表情が引き攣る亮とマル。
俺の携帯を握ってたヨコちょは、目を丸くして携帯を凝視してた。
「横山くん早く出な、待ってるで」
「・・うわぁー、気重いわ」
そう言いながらもヨコちょは、受話器を耳にあて話し出した。