第8章 お茶をどうぞ、お嬢様〜執事松〜
「どーぞー」
なぜか私より先に返事をしたおそ松をキッと睨みつつ、転がっていた枕をベッドに戻す。
ドアが開けば、憎き顔その3とその6がティーセットを持って入ってきた。
「おはようございまーす!お嬢様今日もクソ可愛いですねー!」
ガラガラとワゴンを押しながら、トド松。相変わらず調子がいい。
「てかなんで僕らより先にバカが主様の寝室に………ってなんでそんな格好!?ままままさか…」
ヨレたシャツにズボン姿のおそ松を見て、チョロ松がワナワナと震えだす。
「あ、バレちゃった?実は俺たち」「6人纏めてクビにしますよ?」
静かにそう言うと、部屋の空気が凍りついた。いや、正確にはチョロ松とトド松が固まっただけで、おそ松は嬉しそうに鼻の下を擦っている。
「だはははっ!聞いた弟たちぃ?てなわけでこれ以上詮索禁止ー」
悔しくて顔が熱くなる。けれどきっとそれは逆効果で、2人の目には私が恥じらっているように見えてしまっただろう。
「は、はーい。じゃあボクはミルクティー淹れるから、チョロ松兄さん今日の予定をよろしくー」
「そそ…そうだね!主様、本日のご予定をお伝えしましゅ!」
「ええ。お願いします」
動揺して噛んだチョロ松を流し、今日のスケジュールに耳を傾ける。トド松がティーカップをお湯であっためたりミルクを注いでいる横で、おそ松が「昨日はあんなことになるなんて」とか意味深な発言をしながらスーツに腕を通している。そしてそれを2人はチラ見し、アイコンタクトを取っている。