第6章 さよなら14番〜カラ松〜
ろくに眠れないまま、私は朝を迎えた…。
「見るんだ!サンシャインを!いつだって頭上でシャイニングしている!君達の明るい未来を照らし出すように!」
(…寝不足なのに朝からテンション高いよ)
「人類みなブラザー!辛い時は共にサンシャインを眺め、抱きしめ合おうじゃないか!」
いつものように、松野看守のやかましくも愛しい朝のポエムに耳を傾け、牢屋で黙々と朝食を食べていると…
「15番ちゃん!おは4、6、3のぉーゲッツゥーーッ!!」
「うん。おはよ」
ハイテンションな人がもう一人。
14番くんは昨晩出頭し、またここへと戻ってきたらしい。
目の前の牢屋から元気に手をブンブン振っている。
「お母さんには会えたの?」
「あれー?なんで会いに行ったの知ってんの?」
「あれだけ会いたそうにしてれば嫌でも分かるよ」
「えっとね、プレゼントにたい焼きあげたらすっげー泣いてた!こんなんいいから早く出頭しろって!」
「あはは…そっかそっか」
眠い目を擦って笑いかける——と、ポエムが止まり、ツカツカと早足で松野看守がやって来た。
「何をしてる14番と15番。食事中に私語は厳禁だぞ」
「あいっ!」
「すみません」
松野看守はビシッと高圧的に14番くんに指を突きつける。
「いいか14番?これからはオレの許可なく15番に話しかけるな。これはオレのだ」
「あいっ!」
「はい?」
「フッ、何故か知りたいか?」
「……」
14番くんが黒目がちな猫目になり固まった。あからさまな拒絶反応に臆することなく松野看守は続ける。
「昨夜、オレのぶっとい警棒で体罰を与え、愛の南京錠をかけておいたんだ。つまり、15番は身も心もオレに絶対服従!という訳さ」
「おおぅ!マジすか!」
「ちょ、ちょっと!?平然と何言ってるんですか!?」
「わかりました!15番は看守専用肉便器!!」
「そうだ」
「いやだから何言ってるの!!??」
まぁ、何はともあれ——
(おかえり、14番くん)
カラ松がよく喋る話になってしまった…。
——おしまい——