第1章 家庭教師〜チョロ松〜
「好き」の二文字言おうと口を開きかけた時、あることに気がついた。
「チョロ松先生…痛いんだけど」
「え?そんなに肘強打したの?」
「違くて、お腹の下あたり」
私の下腹部に、パンパンになったお兄ちゃんのがチノパン越しに主張している。
「うわぁぁあ!?ごごごめん!!でもこれ不可抗力じゃない!?だって、可愛い子に乗っかられたら男ならだれだって…!!」
「可愛い子?」
「いや、可愛い妹分の幼馴染ってだけ…」
「それだけ?本当の本当にそれだけ?」
私が嘘泣きを始めると、またオタオタし始める。
「な、泣かないでよ!とりあえず僕から降りなさい!」
背中を優しくさすられあやされる。あぁ…お兄ちゃんがお兄ちゃんしてるなぁと思うけど、私が求めているのはそれじゃない。
「チョロ松先生の馬鹿。ヘタレ。童貞」
「ひどい言われようだなぁ!」
「意気地なし!私の気持ち、気づいてるくせに!」
「…だって、僕はキミの親に頼まれて…」
そこまで言うと、首を振り、
「いや、好きな子にここまで言わせるとか、カッコ悪すぎるね…」
逸らしていた瞳を私に向けた。
止血出来たみたいなのでティッシュを取ると、おそ松お兄ちゃんのパーカーみたいに顔がまっかっかになっている。