第2章 脳内遊戯〜一松〜
(虚しい…なんだこのやるせなさは…)
終わった後の喪失感はいつもの比じゃなかった。捨てたり隠したり、後処理を終えてソファーにダイブする。
うつ伏せで寝転がると、胸の中が空洞になったような奇妙な感覚に襲われた。
所詮オナニーはオナニー。
自分の欲を吐き出すだけ。
リアルだったらさ、今頃ピロートークでもしてんだろ?それか休憩して二回戦?
なんか、イライラしてきた。
(ケッ、一人であんなに盛り上がってバカみてぇ。あぁーヤリてぇなチキショー!!世の中のヤッてる奴ら全員死ね!爆ぜろ!滅びろボケェェエ!!)
ソファーにぼふぼふ頭突きすると、だんだんと気分が落ち着いてきた。
(寂しい…かも…)
楽だと思ってたのに。
誰にも期待せず、されず、一人でいるのが。
同じ顔した五人の後ろに隠れて存在を消すのが、さ。
でもダメだ。もう自分に嘘がつけない。
「主…早く会いたい」
ゴロンと丸まると、今度は主の笑顔が頭に浮かんだ。
じんわり心があったまってくる。
思うだけなら、クソなおれでも素直になれる。
ねぇ主。
明日…楽しみに…してる……から——。
・・・
「ただいまーっ。あれ?一松兄さん寝てる」
「主…猫缶…フガ」
「うっわ、一松兄さんたら、寝言で猫の名前呼んでる…」
「ギャハハハッ!コイツやべー!そのうちオニャニーするんじゃね?猫だけに」
主と一松、二人が心も身体も結ばれる日は、もう少し先のお話。