第11章 リクエスト作品 ハニーに首ったけ〜カラ松〜
想定外のアクシデントだ。
まさかここへきてトッティに遭遇してしまうとは。
2人きりのデートが台無しじゃないか!
ブラザーがここへ来ないよう、新台入替と嘘ついてパチンコに注意を引きつけておけばよかった。
「トド松くん!来てたんだね」
嬉々とした表情で立ち上がるハニー。
トド松も大きな目を細めて微笑み返す。
「主ちゃんやっほ!カラ松兄さんデートでここ使うなんてクソダ……珍しいね♪」
「ん?ま、まぁな」
"♪"で心を抉る何かを誤魔化された気がするが気のせいか。それに釣り堀デートはハニーのリクエストだからな。ハニーを侮辱するのだけは許さない。
「トド松くんはひと「ぼくもいるよー!」きゃっ!」
ハニーの言葉を遮るように、死角から十四松が勢いよく飛び出した。驚きバランスを崩したハニーをトド松が支える。
「大丈夫主ちゃん?」
ぽん、と肩に添えられる童貞の手。
「うん、ありがとう」
おいちょっと待て。マイハニーに触れていいのはオレだけだ!
くっ…肩に手が一瞬触れただけなのに、ジェラシーで心が締め付けられる。
だが冷静に考えれば、トッティは主が釣り堀へ落ちぬよう庇ってくれたんだ。
ならば仕方ない…か。
今回だけは大目に見るとしよう。クールに、平静を保てカラ松!
トド松は口を尖らせ十四松を叱る。
「十四松兄さん驚かさないでよ。主ちゃんが池に落ちたらどーすんのさ」
「ごめんなーーさいッッ!」
十四松はブゥゥンと残像が見える速さで頭を下げた。謝罪の意を込めすぎた結果マッハになったんだろうが、人間の速さじゃない。あ、人間ではなく十四松か。ならば納得だ。