第1章 まさか!私がトリップ!!?
少し経って。
私は現状を理解しつつあった。
「これ、って……夢小説とかでよくある、トリップ……ってやつ? あ、でも舞台とか映画の撮影とかかも……?」
時計はどこ………スマホはバックの中にどこにもなく、腕時計を覗き込む。
「4月8日…午前…10時?」
嘘だ!! 私はさっきテストを終えて帰ろうとして……それに季節だって冬で、寒くて……!! でも秒針は静かに動くしタイツはじっとりと足にへばりつく。
「嘘、でしょ…………」
午前10時……って事は……。
もしもトリップとかいうとんでもないことになってる場合本校舎で始業式をやってるのか…もしくは教室にいる?
「……いやいやいやいやありえない!!!」
1人と分かっていても思わず叫んでしまう。
「確かに殺せんせーに会いたいなーとは思ったけど!? こういうトリップとかってほら神様が現れてとかメモ紙が残っててなんか説明してくれたりとかすごいスペックにしてくれるとかそういうのあるじゃん!! しかも!!」
そこまで一気に言ったので思わず息を吸い込む。
(私は…………この先を知っている)
もしもトリップとかいうとんでもないこと(2回目)に巻き込まれていたとしても、私は完結した作品を何回も読んでいる。
潮田渚君が暗殺の才能を持ってることも、自律思考固定砲台ちゃん通称律とイトナくんが転校して来る事も、あんな事やそんなことも……
そして。