第6章 基礎は復習。
「いち、に、さん、し、ご、ろく、しち、はーち」
校庭に声が反響する。
「晴れた午後の運動場に響くかけ声、平和ですねぇ」
殺せんせーが妙な体操着をきて花を持っている。
「生徒の武器が無ければですが」
「八方向からナイフを正しく振れるように!!どんな体勢でもバランスを崩さない!!」
烏間先生の声が私達に届いた。
「この時間はどっか行ってろと言ったろう。おまえが体育着着てどうする。体育の時間は今日から俺の受け持ちだ。追い払っても無駄だろうがな。せいぜいそこの砂場で遊んでろ」
殺せんせーは泣きながら、
「ひどいですよ烏間さ…烏間先生。私の体育は生徒に評判良かったのに」
と言った。烏間『先生』としての私達に対する最初の仕事は体育の授業。それに関して殺せんせーは悲しそうに文句を言っているのだ。
「うそつけよ殺せんせー」
と菅谷君が呆れ顔で言う。
「身体能力が違いすぎんだよ。この前もさぁ…」
私達は前まで殺せんせーがやってた体育を思い出した。
────
「反復横とびをやってみましょう。まず先生が見本を見せます」
そういって殺せんせーがおもむろにやったのはまさかの分身。
「まずは基本の視覚分身から。慣れてきたらあやとりも混ぜましょう」
「出来るか!!」
────
……うん、あれは無理でしょ…。私達は反復横飛びは出来ても分身を出来るほどのスピードはない。慣れてもあやとりしながら反復横飛びはほぼ不可能に近い。そもそもマッハ20に体育を教わろうというのが無理な発想だったのだ。