第5章 サービスは嵐の前触れ
そして。
もう何振り目かも分からない位ナイフを振って、夕日も沈んできた頃。私は今度こそ、と気合を入れて思い切りナイフを当てに行った。トン、と柔らかい人の感触がナイフ先に当たる。勿論対先生用だから怪我はないけど。
「!!!」
や、や、やっと当たったああああ〜!!!
烏間先生もさっきより柔らかく微笑んで、
「ふむ、今のはいい動きだった。思わず腰が引けた所にナイフが来たのは素晴らしい」
と褒めてくれた。
「……烏間先生、ありがとうございます……」
私は肩で息をしながら言った。
……でも…。
「これって、烏間先生1人が相手だからですよね」
「……」
烏間先生は何も言わなかった。
「たくさんの人に襲われたり、ましてや弱点特徴とか知らない相手だったら絶対勝てないや……」
「じゃあ明日は手っ取り早く特徴を見分けたり弱点をつく方法をしよう」
「あ、明日も大丈夫なんですか?」
烏間先生って出張とか報告とか多いって聞いたんだけど……大丈夫かな、無理させてないかな。
「……アイツを殺すのは人としての任務だ。それに携わる事なら時間を割くさ」
……この人も立派な大人で、自分の仕事に責任と充実感を感じてる。
「……じゃあ、出張とか以外の平日、毎日宜しくお願いしますっ!!」
私は汗を拭きながら笑顔で言った。
3年E組の一員として、私も出来る事の1歩を踏み出せた……かな?