第3章 第1話は諦めと共に。
────────────
「あれ〜渚は?」
「たしかにいないね。もう昼休み終わっちゃうよ」
倉橋さんと茅野ちゃんが話している。
……あれ。
今回って1話の日……だよね。
この後…………。
「…あっ……」
気付いてしまった。というか思い出してしまった。
1話のこの後、何が起こるかを!!!
渚君が扉を開けて入ってくる。
後ろの扉からは寺坂グループ。
渚君の顔はどことなく暗い。
それは、殺せんせーの力に打ちひしがれたから。
そして、
自分の身を投げ捨てようとしてるから。
「なぎっ……」
渚君に声をかけようとした瞬間、殺せんせーが扉を開けて入ってきて、チャイムが鳴った。
「次国語だ〜やる気出ないよ〜」
前の方で茅野ちゃんがうつぶせになる。
「こら茅野さん! 授業を始めますよ」
渚君の号令が入り、授業が始まった。
「今日は短歌と俳句についてです。例えばこれは連語が入っていますね。そして助動詞というものはー……」
私は古文が苦手だ。
それもあるけど今はそれどころじゃない。
……渚君…
「……お題にそって短歌を作ってみましょう。ラスト七文字を『触手なりけり』で締めて下さい」
教室がざわっとする。(主に戸惑いで)
「書けた人は先生のところへ持ってきなさい。チェックするのは文法の正しさと触手を美しく表現できたか」
殺せんせーがドヤ顔で言い切る一方、
「触手って季語?」
「さあ……」
皆は戸惑い気味だ。
「出来た者から今日は帰ってよし!」
教室が静まり返る。
時たまさらさらとペンを動かす音が聞こえる。