第3章 第1話は諦めと共に。
4時間目を終える鐘が鳴った。
「昼休みですね。先生ちょっと中国行って麻婆豆腐食べてきます。暗殺希望者がもしいれば携帯で呼んで下さい」
私の覚えている限り一字一句違わぬセリフを言って、殺せんせーはマッハ20で飛んでいった。
「京香ちゃん」
「…茅野ちゃん」
「どうしたの? 今日集中出来てないみたいだったけど…分からなかった?」
「あ、ううん、全然…! むしろ分かりやすいよ。」
「そう、なら良かった!」
茅野ちゃん優しいなあ…
思わず頬が緩む。
その横で、半呆れ顔の磯貝君が呟いた。
「マッハ20だから…ええと」
すると食に詳しい原さんが注釈を加える。
「麻婆の本場、四川省まで10分くらい」
前原くんが達観気味に笑った。
「確かにあんなもんミサイルでも落とせんわな」
その後も話は続く。
「しかもあのタコ音速飛行中にテストの採点までしてるんだぜ」
「マジ!?」
「うん。俺なんかイラスト付きでほめられた」
「てかあいつ何気に教えるの上手くない?」
すると倉橋さんがその質問に答えた。
「わかるー私放課後に暗殺行った時ついでに数学教わってさぁ。次のテスト良かったもん」
それに続く言葉は、私が覚えている限り…………
「…ま、でもさ」
……だめだよ、そんな事言っちゃ……!!
「しょせん俺らE組だしな」
「頑張っても仕方ないけど」
前原くんと三村くんが諦め気味に言った。
それは、諦めと自己否定の言葉だ……