第24章 赤髪の考察。
殺せんせーという生物がいる以上、いくら非現実的でも現実な事があるんだと俺らは学んだ。
未来予知の触手? んな馬鹿な。
そして、再度シロの登場。
今回シロは多くを語らなかった。でも、また東尾さんに言葉を向けた。
しっかり覚えようとは思ってなかったからな……何かの日にちと、身を預けるだの何だの……
とにかく何か変な事を言っていた。
皆が以前の様に少し重い空気になる所…だと思ったんだけど、振り返った彼女はいつも通り笑顔だった。
そこからのどんちゃん騒ぎ……主に寺坂のせい……で俺はびしょ濡れになったが、こっそり東尾さんを見るのを忘れなかった。
少し握りしめた紙をそっと開き目を見開く彼女。
ゆっくりと目で追い、そして小さく頷く。
……あれには何が書いてあったんだろう。気になってる人もチラホラいるようで、俺はクラスメイトと何回も目が合ってしまった。
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「すーぎの、結果報告」
「は、もうか!? 早すぎねえか!?」
「まだ暫定だけどね」
「で、お前の頭はあれをどう判断したんだ?」
杉野のキラキラした目は眩しい。
俺は軽く手で遮って切り出した。
「彼女は何か隠してることがあるんじゃないかな。でも……」
「でも?」
「……あんまり聞いちゃいけない事のような気がするよ。前、殺せんせーの過去を聞けなかったようにね」
「!!」
殺せんせーが自分の過去を隠すのは何かしらの理由があるはずだ。
聞かれたくないのか、聞いたら何かが変わってしまうのか、それとも何処かからストップをかけられているのか。
「……そうだよな、誰にでも隠したい過去はあるし! ありがとな、カルマ。変な事頼んじゃって」
「そう? 俺はまあまあ楽しかったけどね」
「悪魔!」
「杉野が頼んだんでしょ」
「む、むうぅ」
頭がいい奴はこれだからやなんだ、とか何とかブツブツ呟いている杉野の横で俺は軽く空を見上げた。
……個人的に、まだ注意深く見ていようかな。
彼女の秘密は探ってはいけない。
なら、東尾さんがボロを出すのを待つしかない。