第24章 赤髪の考察。
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イトナの存在が分かってしばらくした、ある日の事。
「は? 東尾さんの様子を探れって?」
「お願いします、カルマ!」
聞いてきたのは神崎さん好きで有名な杉野だ。
俺は自分の赤い髪をガシガシと掻いて聞いた。
「え、何で?」
「バーカ、お前だって前の東尾さん見ただろ! ……茅野が今後何も言わないって約束したけど、俺自身は気になるんだよ!」
「ははーん、それで隣の席である俺に探れって言ったわけ」
確かに俺は東尾さんと席は隣だけど……実質殆ど喋った事は無い。
彼女は彼女なりに奥田さんや茅野さんと話すのに忙しそうだし、無理やり群れるタイプではないから読書をしている時も多い。
だから大丈夫……と思ったんだけど。
「ボロボロになって泣いてたりとか、その翌日橋から落ちようとしたりとか、まあ不安要素は沢山あるもんね〜、杉野最初気になってたっぽいし?」
「そ、それは関係ねぇ!! こんなの調べられんの席隣な上に頭いいお前ぐらいだろ!! クラスの一員として頼むよ!!」
茶化したけど大丈夫、杉野がちゃんと神崎さん一筋なのは分かってるから。
…杉野が言ったこと以外にも不自然な要素はあるし、気をつけて見てみようか。
「うん、分かったよ」
いい暇つぶしにもなりそうだし、と胸の中で呟いて俺はニヤリと笑った。
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まずは普通に気が付いた事なんだけど……
東尾さんは普通に話しているように見えて、ゆっくり考えて話している時がとても多い。
何かを言おうとして急に止まったり、言いたそうにしてても黙ってたり。
その日その日によって話す量に差がある。
……何で?
でも解決は出来なさそうなので次。情報はたくさんあった方がいいもんね。
あとはいきなり真面目な顔になったりする。
楽しそうにしてるのに眉をひそめたり、笑ってると思ったら立ち止まって泣きそうな表情になったり。
……これも解決は出来なさそうだ。
でも少しだけ見えた気がする。
彼女は、この教室を一歩引いた所で見ている。
……そんな、気がするんだ。