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【トリップ】全てを知っている私が!【暗殺教室】

第23章 裏切りは静かに火を燃やす



そう言ったのは(悪魔の羽がこころなしか見える)カルマ君だ。岩場に乗ってにやにやと笑っている。

「うるせーカルマ!! テメーも1人高い所から見てんじゃねー!!」

寺坂はグィ、とカルマ君のシャツをつかみ、そのまま水場へ叩き落とした。

「ぶ」
水に落とされたカルマ君はすぐさま立ち上がり反論。
「はぁァ!? 何すんだよ上司に向かって」
「誰が上司だ!! 触手を生身で受けさせるイカれた上司がどこにいる!!」

カルマ君は可哀想に制服を着ていたのでびしょ濡れだ。

「大体テメーはサボリ魔のくせにオイシイ場面は持って行きやがって!!」

寺坂の意見にうんうんと頷く皆。

「あー、それ私も思ってた」
よくぞ言った寺坂、とイケメグ。
「この機会に泥水もたっぷり飲ませようか」
と手をワキワキ動かしながら莉桜。

……ゲスい……。

途端にさっきの3倍位はうるさくなる。

私はサッと水場から上がって岩場に座った。
少し遠目のところで渚君と殺せんせーが話しているのが見えた。

「寺坂君は高い所から計画を練るのに向いていない。彼の良さは現場でこそ発揮されます」

殺せんせーは自分の顔を絞った。

「体力と実行力で自身も輝き現場の皆も輝かせる。実行部隊として成長が楽しみなアサシンです」


殺せんせーは僅かに目を細めて笑った。……いや、いつも笑ってるんだけど。


……にしても。

私はほんの少し握りしめていた紙を開いた。
そこには、さっきも言われたように日にちと何故その日なのかの理由。
そして……。



─君がもしこの日以降に自分の家に戻ろうとしても、私が開発した原理上元に戻る事は出来ない。君の世界にも戻れず、こちらの世界にも戻る事は出来ないと考えられる。追って連絡はする。また、体調管理の為こちらに身を預ける日もこちらで決めさせて頂く。以上。


……つまり、気持ちだけ決めとけって事?

なんて勝手な……


11月8日。

私のXデー。

そしてもう一つのXデー。

私があちらに身を預けなければならない日。

3週間から4週間前って事は10月半ば位ってことだ。



…私は、あと3ヶ月で……。

足元にかかる水の冷たさと腕にじっとりと感じる湿気はこれが現実だよ、と教えている。


……分かったよ、シロ。

私はゆっくり頷いた。

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