第21章 鷹岡襲来の巻
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「視線を切らすな!! 次にターゲットがどう動くか予測しろ!! 全員が予測すればそれだけ奴の逃げ道を塞ぐ事になる!!」
俺は千葉くんと三村くんのナイフを防ぎながら叫んだ。
俺は烏間惟臣。
ここE組であの巨大な怪物を暗殺するための生徒指導をしている。
そんな俺個人の主観も入った暗殺訓練の中間報告ー…。
四ヶ月目に入るにあたり…
『可能性』がありそうな生徒が増えてきた。
磯貝悠馬と前原陽斗。運動神経が良く仲も良い2人のコンビネーション。2人がかりなら…俺がナイフを当てられるケースが増えてきた。
ピッと肩にナイフを当てた2人に、
「良!! 2人それぞれ加点1点!! 次ッ!!」
と声をかけた。
続いて赤羽業。一見のらりくらりとしているが…その目には強い悪戯心が宿っている。どこかで俺に決定的な一撃を加え…赤っ恥をかかそうなどと考えているが、そう簡単にいくかな?
俺が近付いたのを見てピタッと止まった。
軽く舌打ちをして、どうやら俺に攻撃が出来ないのを察したらしい。
女子は体操部出身で意表を突いた動きができる岡野ひなたと、男子並みのリーチと運動量を持つ片岡メグ。このあたりがアタッカーとして非常に優秀だ。
……また、東尾京香。
本当ならばここにいなかったはずの彼女は、非常に暗殺向きな性格だ。
ひたむきに一撃を狙い、自分が不利でも食らいついて結果を出そうと努力する。周りにもそれが感化されていって教室全体の良い空気になる。目立つ特徴がないが縁の下の力持ちのように、空気の飽和になっている。
そして殺せんせー、彼こそ正に俺の理想の教師像だ。
……ん? ここまできて思考を止めた。はずだったのだが、まだ言葉は続く。
あんな人格者を殺すなんてとんでもない!!
……これは俺の思考ではない、後ろの気配を察して俺は言った。
「人の思考を捏造するな、失せろターゲット」
紛れもなくそこにいるのは『殺せんせー』と慕われるターゲットだ。
ボソボソとマッハで呟き、俺の思考風にしていたのだ。
俺はターゲットの事を1度忘れ、また報告に戻ることにした。