第17章 映画はキャンセル
翌日。
「渚君、映画どうだった?」
「うん、楽しかったけど……どうしたの東尾さん、そんなにボロボロで」
渚君は困り顔で言った。
「いやあ、実はね……」
と事情説明。
「へえ、まああの2人はすごいからなあ。お疲れ様」
「ありがとう渚君……」
今まで銃だけだと思ってたけど、あの2人は基礎体力もかなりある。おかげで慣れてるはずの私でもかなり置いていかれる……。
「……もっと頑張らないと」
「え? どうしたの?」
「ううん、なんでもない」
足でまといになってるうちじゃ、全く役に立たないもん。
……それに、もう少しでくる。
凄腕の転校生、堀部イトナ。
負けてなんていられない。それで……私は帰るんだ。
でも、その時の私は知らなかった。
私が元の世界に帰るのに、大事なこと。
私が帰る方法を知っている、防衛省の上の人。
……全然、知らなかったんだ。