第17章 映画はキャンセル
六時間目のチャイムが鳴り終わる。
殺せんせーは何だかご機嫌だ。
「ごきけんですね殺せんせー。このあと何かあるの?」
磯貝君がさらっと暗殺しながら言う。
「ええ」
殺せんせーもサラッと避けながら笑った。
「ハワイまで映画を見に行くんですよ。先にアメリカで公開するので楽しみにしていたんです」
皆が続々と帰る準備を始める中、流石にハワイまでついていく気も無い私は、別の出来事で緊張していた。
「うそぉ、ずるーい先生」
「ヌルフフフ、マッハ20はこういう時のためにこそ使うのです」
殺せんせーは莉桜ちゃんに映画雑誌を見せる。
「『ソニックニンジャ』? あ〜あのヒーロー物ね。明日感想聞かせてー」
後ろで渚君とカルマ君が驚くのが分かる。2人もこの映画を見に行きたいとさっき話していた。
……でも、今回はさすがについていくわけにはいかない。
バクバクと心臓が口から飛び出そうなほど鳴る。
私は……『これから二つ結びになる彼女と目元が見えない彼』に声をかけた。
「あの、速水さん、千葉くん!!」
2人は、ゆっくりと振り向いた。