第16章 LとRの組み合わせ
「へぇ、良い顔してんじゃん3人とも」
前原くんが手を軽く顔に当てて言う。
「この3人、東尾のことすっげー好きなんだなって伝わる」
……息が、止まるかと思った。
「……うん、そうなの」
私はドヤ顔で言って、声の震えを精一杯隠した。
嬉しくて泣きそう。
3人とも、私が大好きで、私も3人が大好きで……。
…ホームシックに、なりそうだ。
前原くんは気付かず話を続けるが、私はぼうっと前の世界の家を思い出す。
……4LDKの、一軒家。私の部屋は二階にあって、屋根は黒。
「……しお? 東尾?」
ハッと私は意識を戻した。
「あ、ごめん、何?」
「律がどうやって現像しますかだってさ」
「セピア風もプリクラ風も出来ます!」
ああああああそれは普通でいいかな!!!!!
みんなの喧騒に紛れて、私は言った。
「……ノーマルで」
そして、軽く目尻を拭ってもう一度笑った。