第12章 初めてのテストは竜巻と共に
ふ、と横で空気が動いた。
「にゅやッ!?」
ガンッと黒板に対先生用ナイフが当たる。
「いいの〜? 顔向けできなかったら俺が殺しに来んのも見えないよ」
ギシギシと音を立てて前に歩いていくのは。
「カルマ君!! 今先生は落ち込んで…」
殺せんせーは言葉の途中で投げられたテスト用紙をバッと受け取る。
「俺問題変わっても問題無いし」
理科99、国語98、数学100、社会99、英語98…
学年4位のテストが並ぶ。
「うお…すげぇ」
「俺の成績に合わせてさ、あんたが余計な範囲まで教えたからだよ」
カルマ君は目をすっと細めてわらった。
「だけど、俺はこの組出る気無いよ。前のクラス戻るより暗殺の方が全然楽しいし。
…で、どーすんのそっちは? 全員50位以内に入んなかったって言い訳つけて、ここからシッポ巻いて逃げちゃうの?」
ううん、流石のカルマ節。
煽りに磨きがかかっている。
「それって結局さぁ、殺されんのが怖いだけなんじゃないの?」
皆が視線を交わして合図をとる。
「なーんだ殺せんせー怖かったのかぁ」
「それなら正直に言えば良かったのに」
「ねー『怖いから逃げたい』って」
顔を赤くして殺せんせーは触手を上げた。
「にゅやーッ!! 逃げるわけありません!! 期末テストであいつらに倍返しでリベンジです!!」
カルマ君がベーッと舌を出す。
皆が一斉にわらった。
「何がおかしい!! 悔しくないんですか君達は!!」
私は……いや、私達は壁に当たったのだろう。
社会の壁でもなく、その前のかなり大きく厚い壁に。
でも、殺せんせーや烏間先生、イリーナ先生や……E組の皆とならきっと乗り越えられる。
私は……それを見届けるまでここにいるのかな。
勉強も暗殺も、自分の帰る方法まで模索しなくちゃならないなんて、大変だけど……。