第3章 One Love
あの日結局なにもなかった。
期待してた訳じゃないよ、でもキスくらいしてもよくない?
翔くんとは一緒に食事に行ったりするようになったけどお互いの家に行ったりすることはなくて…
「で、なにか進展ありました?」
ニノがいきなりぶっこんできた。
今日はニノとふたりで雑誌の取材だ。
「な、なにがだよ!」
「まだなんですか?」
「だからなにがだよっ?」
「いい年した大人なんだから、エッチしたかに決まってるでしょうよ?」
呆れたように言われた。
エッチどころかキスさえしてないなんて笑われるかな…
ニノの言うように大人なんだよ?
付き合い始めたらキスくらいするんじゃないの?
しかも遅くなったからってあの日泊まったんだよ?
…俺、そういう対象ではないのかな…
『今日は襲わない』なんて意味深なこと言ってたのに…
「大野さん?」
「ニノ…俺、魅力ない?」
「はっ?」
「翔くんなにもしてくれないんだ」
「なにも?」
「まだ、キスもしてない…」
「……はぁ?キスなんて今どき中学生だってしますよ?」
ニノが驚いた。
そりゃそうだよ。だから俺に原因があるのかなって…
「ニノたちってどれくらい掛かった?」
「キスは付き合った当日ですね」
「だよな…
あの日泊まったのになにもないって俺が悪いのかな?」