第3章 One Love
『…私は翔さんにとって、大切な人?』
『あぁ、とても大切だよ?
ニノだけじゃなく、メンバーみんなが大切なんだ
だから俺は誰とも付き合わない…』
全てを理解した訳ではなかったが翔さんの顔を見て決意が固いことだけはわかった。
『…わかりました』
そう言うしかできなかった。
早く家に帰って独りになりたかった。
タクシーを降りるとマンションの前に潤くんが立っていた。
『…お帰り』
潤くんの笑顔を見た途端我慢していた涙が溢れてきた。
潤くんは俺が泣き止むまでただ静かに抱きしめてくれた。
その時気がついた。
いつも俺を優しく見守ってくれてる視線があったことに。
このタイミングの良さ、きっと俺と別れた後、翔さんが連絡したんだろう。
翔さんは全部わかっていたんだ。
俺の全てを受け入れてくれる人がいることを…
しばらくして俺は潤くんと付き合いだした。
「おまたせ、飯できたよ」
潤くんが料理を持ってリビングに来た。
「おー!旨そう!」
「旨そうじゃなくて旨いんですぅ」
「なんだよ、ニノまでのろけかよ」
「なんですか?
ニノまでって」
「さっき、松潤ものろけてたから」
翔さんが嬉しそうに笑う。
ほんとにメンバーの幸せが翔さんの幸せなんだね。