第15章 Waiting for you
「おはようございます」
「あ、おはよニノ」
「おはよ~」
「あ~大野さん、早速始めたんですね?」
「うん」
始めた?何を?智くんは俺がここに来てから何もしてないけど…
「まぁ、頑張ってくださいよ。先は長いでしょうけど」
「ははっ、そうだな…でも頑張るよ」
「応援してますよ」
「あんがと、ニノ」
微笑むニノに対し微笑みを返す智くん。
なんだ?先は長い?智くんはいったい何を始めたんだ?
しかもニノが応援するようなこと?
俺、何も聞いてないけど…ニノには何か相談したのかな?
俺って信頼されてない?さっき聞いたのに何も話してくれなかったよね。
確かにニノと智くんは仲良いけどさ、何かあるなら俺にも話してくれて良くない?
ちょっと疎外感…少しだけ寂しく感じた。
それからの智くんはやはり何する訳でもなく、何を頑張っているのか全くわからなかった。
智くんが頑張ることってなんなんだ?
あれから1ヶ月以上…智くんは常に楽屋に一番乗りしている。
もしかしてあの時ニノと言っていた頑張ってることってこれ?
「智くん、おはよ。今日も早いね」
「おはよ、翔くん」
なんで智くんがそんなことをしているのかは謎のままだけど、智くんが一番乗りするのが当たり前になって、以前より楽屋に来るのが楽しみになってる俺がいる。
特に何かがある訳じゃない…ただこのマイナスイオン発生人間とふたりで静かに過ごしている時間が堪らなく好きなんだよなぁ。
本人には恥ずかしくて言えないけど。