第15章 Waiting for you
「あれ?智くん、今日は随分早いね?」
レギュラー番組収録日、楽屋に着くと既に智くんがいた。
いつも特に遅いわけではないけど、こんなに早くいることも珍しい。
「おはよ、翔くん」
ふにゃっと笑って挨拶する智くん。
この笑顔、ほんと可愛らしいと言うか何と言うか…まぁ、とにかく癒しの笑顔。
この癒しのオーラが嵐の支柱に有る限り嵐は揺るがないんだろうな…本人はわかってないんだろうけど。
「おはよ、智くん。どうしたの?こんなに早く」
「ん、ちょっとね…」
「ちょっと?何か用があるの?」
「うん、まぁ…」
「もう終わったの?」
「終わったと言えば終わったし、終わってないと言えば終わってない」
「なんだそれ?」
「ふふっ、なんだろね?」
なんだかわからないな。
智くんはほんと不思議な存在。
それは悪い意味じゃなくて、俺の考え付かないようなこと考えついたりするし、智くんから出てるいい意味で脱力出来るこの雰囲気。
智くんのそういうところに凄く助けられてる。
俺が新聞を開き読み始めても智くんは何をするでもなく俺が新聞を読む姿を見てる。
「智くん、暇じゃない?」
「全然…ここにいるだけで俺には有意義な時間だけど?」
「ふ~ん、そうなの?」
「そうなの…」
ニコニコと笑う智くん。
ま、いいんだけどね。智くんとふたりの空間は居心地が良かったりするから。
この人からはマイナスイオンが出てるんじゃないのかな?なんて本気で思ったりする。