第13章 pray
「場所変えよ?」
智くんは体を起こすと俺の腕を取り立ち上がった。
「いくらラグの上でも硬いでしょ?背中痛くなっちゃうから」
智くんに手を引かれ寝室に連れていかれる。部屋の中には当たり前だけどベッドがあって…ベッドの手前で立ち止まってしまったから俺の手を掴む智くんの手が離れてしまった。
「翔くん?」
智くんも立ち止まって俺を振り返る。
「まだ躊躇ってんの?」
「あ、いや、なんかベッドが生々しいなって、いかにも『ヤります』って感じじゃん」
「ははっ!だってこれからヤるんだもん」
「そうなんだけど…」
智くんはベッドの上に座ると両手を広げた。
「ほら、おいで…」
呼ばれるがまま膝を着いてベッドに上がるとゆっくりと智くんに近付いて行った。智くんの前に到着すると智くんは嬉しそうに微笑んで俺をギュッと抱きしめてくれたから俺も智くんの首に腕を巻き付けてギュッと抱きついた。
「はぁ~幸せ~」
「智くん?」
「翔くんと抱き合えるなんてさ、夢にも思わなかったから」
「うんそうだね…俺も智くんに抱きつく日が来るなんて夢にも思わなかったよ」
「だろ?あ、でも俺夢で見たことあったわ…イブの日一緒に床に寝ちゃったじゃん、その時に翔くんが抱きしめてくれる夢見た…スッゲェリアルでさ、サンタからのクリスマスプレゼントかと思ったよ」
あ…あの時、智くん気がついてたんだ…朝起きた時には離れてたからバレてないと思ったのに。
「あの、智くん…それ、夢じゃない…」
「は?なんて?」
驚いて俺から体を離すと俺の顔を見た。
「だから、それ夢じゃないから…」