第13章 pray
「え?今日ってそれで誘ってくれたの?」
「ん?なにが?」
「今日、俺の誕生日だから誘ってくれたの?」
「あ~、うん、そう…翔くんにとって特別な日だろ?だから一緒にお祝いできたらなぁ、って思ってさ」
「何か話しあるんじゃなかったの?」
「あるよ?あるけどもう少ししてからでいい…とりあえず乾杯しよ?腹減っただろ?」
「うん」
「はい、グラス持って」
グラスを持つと智くんがお酒を注いでくれた。
「ありがと、はい、智くんも…」
「あんがと」
智くんのグラスに酒を注いで自分のグラスを持つ、智くんが俺のグラスにチンとグラスを合わせると
「誕生日おめでとう」
と、極上の笑顔でお祝いを言ってくれた。
「ありがとう」
俺も笑顔で答えた。智くんが俺の為に誕生日のお祝いを考えてくれてたなんて思いもしなかったから凄く嬉しい…智くんがしようとしている話しも気になるけど、今は忘れて楽しもう…じゃなきゃ勿体ない。
「はぁ…このお酒旨いねぇ」
「良かった…いきなりお酒もどうかなって思ったんだけどこのメニューにはやっぱり日本酒だよなぁ、って思ってさ」
「うん、正解」
「刺身も食ってよ、俺が捌いたんだから」
「え?マジで?すげっ!いただきますっ……うまっ!」
「ははっ!早いよ感想」
「だって食べた瞬間旨いんだもん」
「よかった…はい、鍋も食べて」
智くんが鍋をよそってくれた。ふたりで鍋と刺身をつつきながら酒を飲む。器が空になるとタイミングよく智くんがまたよそってくれて俺はただ食べて飲んでるだけ。
「なんか至れり尽くせりで悪いなぁ」
「いいって、お祝いなんだから」
「でも、俺智くんの誕生日にこんな風にお祝いしてないよ?」
「いいんだよ、俺がしたかったんだから」
「でもさぁ…」
「そんなに気にするなら今年の俺の誕生日は翔くんがお祝いしてよ」
「俺はいいけど…智くんはいいの?他にお祝いして貰いたい人いるでしょ?」