第13章 pray
「おっはよ~」
楽屋のドアが勢いよく開けられたと思ったら松潤が笑顔で入ってきた。
「おはようございます潤くん、珍しいですね朝から機嫌がいいなんて」
「ほんと~、何かいいことあったの?松潤」
「うん、あった~実は昨日さぁリーダーに誘われて舞台観に行ってきたんだよ」
松潤が智くんと?そりゃ機嫌いいだろうな…朝からこんなに機嫌がいいなんて一年に数回だぞ。よっぽど嬉しかったんだな…智くんと出掛けたの。
「へぇー、大ちゃんと?大ちゃんが舞台観に行くのも珍しくない?」
「そうですね…あの人が行くってあまり聞かないですよね」
確かに聞かない…全くとは言わないけど相当興味がないと行かないよな…それとも松潤誘うために松潤が興味ありそうな物を選んだのか。
「うん、今回は断れなかったみたい…前に共演した大御所さんから結構しつこく連絡来たみたいでさ…でも普通にすっげぇ人気の舞台なんだよ?で、俺が前に観たいなぁ、って言ったの覚えてたみたいで誘ってくれたんだよ…いやぁ、やっぱスゲェいい舞台だったぁ」
「ほぉ、大野さんに感謝ですね」
「うん、マジ感謝っ!最初はさ、別の人誘った方がいいんじゃないの?って遠慮したんだけさ」
「あ~そうだよねぇ、なんで松潤だったんだろ?」
「もうすぐ千秋楽なんだよ、それでリーダーが昨日しか都合付かないから俺に話し振ってくれたの」
「あぁ、なるほど…昨日じゃ無理ですね、月曜ですから」
「だろ?大切な仕事あるもんなぁ…誘うのにチャンスだと思ったんだけど」
「その点は大丈夫だよ、もっと大切な日を押さえたみたいだから」
「え?そうなの?」
「えぇ、相手はわかってないみたいですけどね」
「だろうなぁ…わかるくらいならとっくに上手くいってるって」
「ですよねぇ…でも相手の方に最近変化が見られますけど」
「おぉ~、そうなんだ…じゃあもうすぐいい話し聞けるかな?」
「だといいねぇ」
「大丈夫ですよ、なんてったって優しい方ですから」
ちょっと待て…智くんの相手って松潤じゃないの?だったらこの一週間俺は何をしてたんだ…それに智くんの相手って結局誰?松潤も知ってるみたいだし。