第13章 pray
「でも意外だったよ、智くんが誘ってたなんて」
「そう?」
「だってあんまりイベントとか気にしないかと思ってた」
「まぁ、イベント自体はあまり気にしないよ…ただたまたまこのタイミングで誘えただけでクリスマスを狙ってた訳じゃない」
「なるほどね、そういうことか…でも自分から誘うとかしなそうだからさ」
「…焦りだよね」
「焦り?何に対して?」
そう聞き返すと智くんは苦笑した。
「年齢…俺もいつまでも若くないんだよなぁ、ってさ…最近凄く考える…」
「まぁ、そう言われると俺もなんだけど」
「あと数年で40じゃん、俺このままずっと同じ人想い続けて…しかも想いも伝えないで年を取って行くのかな、って思ったらなんか時間が勿体ない気がしてきちゃって」
「あ~わかる…若い頃は目の前の時間は気にしても先の時間なんていくでもあると思って気にしなかったからね、そう考えるってことはやっぱり年取って来てるんだよなぁ」
「だろ?しかもさ、ニノと相葉ちゃんの幸せそうな顔見てるとさ、羨ましいなぁって思うようになった」
「羨ましいかぁ…俺はそこまで思ったことないけど幸せは伝わってくるからね、俺もふたりの姿見てると幸せにはなるよ」
「そっか、翔くんは羨ましいとは思わないんだ…翔くんって、好きな人いないの?」
さっきまで笑顔で話していた智くんの表情が急に真剣なものに変わるとじっと俺の事を見つめた。