第13章 pray
「良かった?なにが良かったの?」
そう聞き返したら智くんが微笑んだ。
「俺だけ翔くんに予定聞いて貰えなかったと思ってたから、ちょっとショックだった…」
「そんなことしないよ、そう思わせてたならごめん…でも『ショックだった』なんて大袈裟じゃない?」
「そう?俺にとっては大袈裟じゃないんだけどね…」
ニコッと笑うと智くんがソファーから立ち上がった。
「とりあえず今は洗濯が先、ほら出して」
これ以上断ったら智くんのことまた悲しませるよね…そんなことはしたくないし。
「わかったよ、それじゃお言葉に甘えさせていただきます」
俺もニコッと笑い返して立ち上がった。
「うん、甘えて甘えて」
嬉しそうに笑う智くん、俺が甘えるのってそんなに嬉しいのかな?智くんが喜んでくれるならこれからも少し甘えてみようかな…
バッグから汚れ物を取り出すと智くんが手を差し出してきた。さすがに汚れた服を手渡すのは抵抗がある。
「あのさ、洗って貰うけど自分で洗濯機には入れさせて?汚れた服を智くんに持たせられないよ」
そう言うと智くんは上げていた腕を下げガッカリした顔をする。
「えー、残念」
「なにが残念?」
「だってさ、やっと甘えてくれたと思ったのにやっぱり遠慮するんだと思って」
「あのね智くん、立場が逆だったら智くんは俺に汚れた服持たせる?」
「いーや!絶対持たせない!翔くんにそんなことさせられないよ」
力一杯否定する智くん。
「でしょ?甘えるとかの問題じゃなくて人としてどうなの?って話だよ」
「そっか、ごめんごめん…なんか翔くんの世話できるのが嬉しくてつい」
智くんが照れたように笑う…人の世話するのがそんなに嬉しいの?智くんって世話好きだったっけ?