第13章 pray
「智くん、予定ないの?」
「ないよ、翔くんと一緒」
「そっか…なら付き合って貰っていい?」
「喜んで…俺もひとりきりのイブになるとこだったから良かったよ」
智くんが嬉しそうに笑った。
「じゃあ、決まりで…場所どうする?俺が適当に探しちゃっていい?」
「もし良かったら家で飲まない?」
「え?智くん家?」
またまた珍しいことを言う。人に家に来られるの嫌がってたのに。
「無理にとは言わないけど、今から店探すの大変かと思ったから」
「智くんがいいならお邪魔させて貰うよ、でも迷惑じゃない?俺から話持ち出したのに…」
「イヤ、全然…あんまりツマミとか用意出来ないけど」
「それは構わないよ…ライブ後なんだから疲れてるし、差し入れ何か持ち帰って軽く飲めればいいよ」
「うん、ならアルコールだけ用意しとくわ」
「ありがと」
「どういたしまして…さて帰るとするか、マネ待たせちゃってるし」
「あ、そうだね」
荷物を持ってふたりで楽屋を出た。駐車場まで他愛もない話をして歩いてたんだけど、智くんのテンションがいつもよりも高めなような…ふたりで飲めること楽しみにしてくれてる?
そういう俺も実はワクワクしてたりして。だってはじめてだよ?20年以上の付き合いになるけど智くんの家にお邪魔してふたりきりで飲むなんて。しかも智くんから誘ってもらえるなんてさ。棚ぼただったな、24日が楽しみになった。