第12章 抱擁
「あのさ、翔くん…さっき俺の頭の中覗けたらいいのにって言ってたでしょ?俺の何が知りたいの?」
そう聞いたら翔くんは俯いてしまった。
「あのね?大野さん…逆に聞きますけど貴方が翔さんの頭の中覗けるなら何を知りたいですか?」
俺が知りたいのは翔くんに付き合ってる人いるのかなぁ、とかだよ。だって好きな人のことで知りたいのって大体そんなことだろ?
そもそもさ、なんとも思ってない人の頭の中なんて覗きたいとも思わないし………っ⁉
え、そういうこと?翔くんも俺と同じように思ったの?知りたいことあれば直接聞けばいいんだ…それが出来ないけど知りたいこと…ほんとは知りたいのに答えを聞くのが怖いこと…それって…
「翔くんって、好きな人いるの?」
「えっ?」
翔くんが顔を上げて驚きの声をあげた。
「え?って、あっ!俺、声に出してた⁉」
思わず考えていたことを口に出してしまった。
「ははっ、大野さん無意識?」
「だってニノがあんなこと聞くから…」
「で?それが翔さんの頭の中を覗いてでも知りたいことなんですか?」
「うん…だって答え知るの怖くて直接聞けないもん」
「ですってよ?翔さん」
ニノが翔くんの方に視線を送ると翔くんの顔は真っ赤に染まってた。
「翔さんの知りたいことも大野さんに聞いてみたらいいんじゃないですか?」
「……智くんって好きな人いるの?」
頬を染めたまま潤んだ瞳でそう聞く翔くんはメチャメチャ可愛いかった。