第10章 always
〈潤サイド〉
あの日、打ち合わせが終わり、家に帰ってから翔くんに電話をした。
「もしもし、翔くん…」
『松潤…どうした?何かあったのか?昼間も様子おかしかったし…』
「…助けて…」
『松潤?』
「翔くん、助けて…」
『お前、今どこ?』
「家にいる…」
『今から行くから待ってろ』
そう言って電話を切った翔くん。
簡単なんだよ、あなたを手に入れるのなんて…
優しいあなたは、助けを求める人間を突き放せない。
今までこの方法を取らなかったのは、あなたに認められたかったから…
対等な立場で、あなたに気持ちを伝えたかった。
でもそんな悠長なこと言ってられない…
誰にも渡さないから…どんな汚い手だって使ってやる。
それだけ俺にはあなたが必要なんだよ…あなたが全てなんだ。
大野さん…あなたの大切な物、あなた以上に大切にしてあげるから安心してよ。
さてと、先ずは可愛い弟を演じないとね…
部屋のインターフォンが鳴った。
『松潤、俺』
マンションの入口のロックを解除した…
玄関のチャイムが鳴り、ゆっくりとドアを開ける。
「…翔くん…」
弱々しく翔くんに抱きついた…もちろん、受け止めてくれる翔くん。
翔くんに抱きしめて貰うのなんか簡単なんだよ?大野さん。
「とりあえず上がらせて貰っていい?」
頷いてリビングに誘導した。
ソファーに隣り合って座り、心配そうな顔で俺を見る。
そんな顔見るの久しぶりだね。最近は心配掛けること減ったもんね。