第9章 言葉より大切なもの
〈翔サイド〉
昨日智くんの俺に対する気持ちを知った。
急なことでビックリした。
でも、冷静になってから意外に思ったことは、男の人からの告白だったのに嫌悪感を持たなかったこと…
ニノの相談を受けてたせいで免疫が付いてたのかな。
自分が男の人からの好意を寄せられてるなんて考えた事もなかった。
しかも一番近い存在といってもいい智くんに…
智くんは今までどんな思いで俺の近くにいてくれたんだろう。
昔から尊敬してやまない智くん。
その智くんから好きだと言われれば悪い気はしない。
ただその想いに応えられないだけで…
ニノに智くんのことを考えてみてくれと言われた。
仕事仲間としてしか見てなかった智くんのことを今更考えてみてくれって言われても何も変わらない気もするんだけど…
今日は智くんとふたりきりの仕事。
なんとなく緊張してしまうのは昨日の事を意識してしまっているから?
そんな事を思いながら控え室にひとりで待っていた。
暫くして智くんがやってきた。
「おはよ、智くん」
「ん、おはよ…翔くん」
いつもと同じように挨拶をしたんだけど、智くんの様子が少し変?
智くんは挨拶だけ交わすと椅子に座りスマホを弄りだした。