第8章 とまどいながら
<翔サイド>
ニノと一緒に楽屋に行くと既に相葉くんが来ていた。
挨拶をしてもいつもの元気な挨拶が返ってくることはなく辛うじて聞き取れる小さな挨拶が聞こえた。
今日も俺と腕を組んで歩くニノ。
その姿を寂しそうな目で見つめる相葉くん。
俺とニノがソファーに隣り合わせで座ると目線をそらした…
きっと夕べはひとりで眠れない夜を過ごしたんだろう、目が少し腫れぼったい。
ごめんね、相葉くん…
相葉くんを哀しませたい訳じゃないんだけど、ニノがなにを考えてるか分からないし、話しに乗った手前中途半端に降りる訳にもいかない。
すぐに決着が付くと言うニノを今は信じるしかないんだ…
「相葉さん、早いんですね?どうしたんです?」
ニノがゲーム機を手にしながら相葉くんに声を掛けるとビクッと肩を揺らしてニノを見る。
「…別に理由はないよ、早く目が覚めたから…」
「ふ~ん、そうなんですね?
私はてっきり翔さんか私に話があるのかと思いました」
ニノがそう言うと相葉くんはじっとニノを見つめた。
ニノの方は俺にもたれ掛かったままゲームを続け、相葉くんの方を一切見ない。
「…ニノ、なに考えてるの?」
「何がです?」
「ニノは大ちゃんと付き合ってるんじゃないの?」
「私と大野さんが?そんなわけないでしょ」
「だって、ふたりいつも一緒に帰るじゃん」
「あぁ、大野さんの相談に乗っていたんでね
そういう相葉さんだって翔さんと一緒に帰ってましたよね?
翔さんに聞きましたけど、相談に乗って貰っていたんでしょ?
同じことですよね?
それをあなたが勝手に勘違いをした
しかも翔さんを巻き込んでね」