第8章 とまどいながら
<翔サイド>
「はい、翔ちゃん」
「ありがと」
相葉くんのマンションにお邪魔してソファーに座る前に缶ビールを受け取った。
ここ最近相葉くん家に来ることが増えたから勝手知ったるじゃないけどかなりリラックスして過ごしてる。
パターンも決まってて俺がビールを飲んでる間に相葉くんが料理を作ってくれる。
相葉くんの料理の腕が以前よりだいぶ上がってて、全く料理ができない俺は感心するばかり。
「はい、お待たせ~」
相葉くんが煮魚としょうが焼きと数点の小鉢を持って来た。
「うわ!うまそ~!
相葉くんのしょうが焼き、超好き~!」
「ふふっ、ありがと
喜んで貰えて嬉しいよ」
相葉くんが缶ビールを開けたから
「じゃあ、お疲れ~」
と言って缶をコツンと合わせた。
「お疲れ!」
相葉くんは一気にビールを流し込むから
「相葉くん、ペース早すぎ」
って止めたけど、聞くわけないよな。
今朝のあの会話、気になってるんでしょ?
ふたりが一緒に夜を過ごした上に寝かせて貰えなかったなんて、聞きようによってはかなり際どい話しだし。
あのふたりの仲を疑ってる相葉くんにしたらキツいだろうな…
だから話を聞いてあげようと思ってお邪魔させてもらったんだけど。
このペースじゃ話す前に潰れそうだな…
「翔ちゃ~ん!」
案の定、酔っ払った相葉くんが抱きついてきた。
俺は「よしよし…」と言って頭を撫でてあげる。
相葉くんの気持ちは痛いほどよく分かる…
あのふたりが付き合っていたら割り込むことなんて出来ない…
諦めるしかないんだ…