第8章 とまどいながら
<翔サイド>
ガチャッ
「…おはよ」
「おはよ、相葉くん」
「おはよう、相葉くん。今日は静かだね」
パソコンを弄っていた松潤が目線をあげた。
「俺だってそんな日もあるよ…」
「希にだけどね」
松潤がヘッドフォンをしながらパソコンに目を戻す。
そろそろライブの準備が始まるから忙しいんだろうな。
「翔ちゃ~ん」
俺の隣の椅子にドカッと座るとそのまま机に突っ伏した…
また何かあったな…
「はぁ~」
「…どうした?」
「あのふたり、昨日も一緒に帰っていった…」
顔を腕の上にのせたまま相葉くんは小さな声で話す。
「そっか…」
俺はそれ以上は何も言わず相葉くんのサラサラの髪を撫でた。
相葉くんが顔だけこちらに向ける。
「あ~、なんで翔ちゃんのこと好きにならなかったかなぁ」
「また言ってる
ほんとはそんなこと思ってないくせに」
クスクス笑って答えると、相葉くんはガバッと体を起こした。
「そんなことないよ
翔ちゃんの方が優しいし
頭いいし
かっこいいし」
「ふふっ、ありがと
それでも、ニノのことが好きなんだろ?」
再び顔を伏せてしまった相葉くん。
「そうなんだよなぁ…
なんでだろ?なんで諦められないのかなぁ…」
「まだ決めつけるの早いんじゃない?
あのふたりが付き合ってるか分からないじゃん」
「そうは言ってもさぁ、最近よくふたりで帰っていく姿見かけるんだよ?」
「何か理由があるんじゃない?
聞いてみたらいいのに」
「え~、やだよ~
それで付き合ってるって言われたら、俺どうしたらいいの?」
相葉くんが顔を上げると少し瞳が潤んでた。
ほんとにニノの事が好きなんだな…
何とかしてあげたいけど、こればっかりはどうしたらいいのか…
大切なメンバーだから、拗らせたくないし。