第7章 turth
そんな風に言われても翔くんの事が心配になった。
「翔くんてさ、誰かに頼ることってあるの?」
「そりゃあ、あるよ
ひとりでなんでも出来る訳じゃないし
メンバーにだって頼ってるよ」
「…でもさ、翔くんの頼ってるって心から頼ってる?」
「え?」
「さっき、しんどい時あるって言ってたじゃん
そういう時に弱音を吐ける人とかっていないの?」
「…そういう意味ではいないかな…
基本、人に弱いところ見せられないんだよね…」
翔くんが少し寂しそうに見えた…
「智くんはいるの?
弱いところ見せられる人」
俺?そう言われれば俺もいないのか…
「俺もいないかも…」
「そうなんだ…
智くんプライベートで親しくしてる人とかもいないの?」
「友達はいるよ?
でもたまにしか会わないし、仕事の愚痴とか言わないよ」
「じゃあ智くんもひとりで頑張ってるんじゃん」
「そっか、俺もひとりなんだ」
「でしょ?」
「でもしんどいと思ったことないな…」
「そうなの?凄いね智くん」
「だって忙しくてキツいなぁと思うと翔くんからLINE来るんだもん」
「え?」
「翔くんからのLINE見るとさ気持ちが落ち着くって言うか、元気になるって言うか…」
そうなんだ。仕事で余裕がなくなりそうなタイミングでいつも翔くんからLINEが来る。
たぶん、狙ってだよね?
翔くんには分かっちゃうんだよなぁ、俺が追い込まれてるの。
LINEの内容は写真だったり、短いメッセージだったりまちまちで仕事のことには一切触れてない。
でも、翔くんの優しさが伝わってきて気持ちがほっこりするんだよなぁ。
最近はディスプレイに映る翔くんの名前を見ただけで笑みが溢れたりする。
「だって俺のLINEなんてたいした内容じゃないじゃん」
翔くんが少し頬を紅くしてる。