第6章 君のために僕がいる
<大野サイド>
俺たち嵐には翔くん以外共通の悩みがある。
それは翔くんの事で、問題は本人が全くその事に気がついてないことだ。
今もニノとふたりで楽屋からスタジオの移動中にその現場に遭遇した。
「なんで翔さんひとりにしたんです?」
ニノの視線の先を見ると以前一緒に仕事をしたことがあるスタッフが翔くんの肩に手を置き馴れ馴れしく話しかけていた。
「相葉ちゃんが一緒にいたはずだけど…」
「ちょっと行ってきます」
ニノが二人に近づいて行った。
「おはようございます」
「あぁ、おはようニノ。久しぶりだね」
「ご無沙汰してます」
にっこりと営業スマイルで挨拶するニノ。
「大ちゃん!」
相葉ちゃんが慌てた様子で走ってきた。
「なにやってたの相葉ちゃん」
「ごめん!前に共演した俳優さんに会っちゃって
翔ちゃん初めましての人だったから挨拶だけして『先いくね』って行かれちゃってさ」
「もう、しょうがないなぁ」
「あれ?まだこんなとこにいたの?」
後から来た松潤が不思議そうに歩いてきた。
「あぁ、あれ」
と、言って翔くん達の方を見た。
「なんでニノ?相葉くん一緒にいたんじゃないの?」
「ごめん!知り合いに捕まって翔ちゃんひとりにしちゃった…」
「なにやってんだよ!」
松潤がキツく相葉ちゃんを責める。
「ほんと、ごめん!」
「松潤、許してやれよ
廊下だし、人目もあるから大丈夫だよ」