第5章 Don't you get it!
一瞬だけ触れて離れて行った。
「お風呂入らないの?」
なに事もなかったようにニコッと笑いながら言われた。
「あ、うん、入る…」
智くんの行動の意味がわからない…
用意をして立ち上がると
「準備できた?」
って聞いてきた。
「…うん」
「じゃあ、行こ」
また、ニコッと笑い掛けられ手を引かれる。
「えっ?智くんも入るの?」
「入るよ?」
当然と言った感じで答えられたけど、昼間のことを思い出し足が止まった。
「どうしたの?」
至って普通な態度の智くん。
そう、俺が気にしすぎなんだ…
今までだって何度も一緒に入ったのに…
「やだ?」
聞かれて顔をあげると智くんの寂しそうな顔が目に入った。
「嫌じゃないよ」
そんな顔をさせたくなくて慌てて否定する。
「よかった」
手を繋いだまま脱衣所に入った。
入ったはいいけどまた動きが止まってしまう…
どうしよう…
「お先!」
智くんが先に入っていってちょっとホッとした。
裸になってみるも中に入っていけない…
「翔くん!早くおいでよ!すっげー綺麗だよ!」
中から呼ばれそろりと入っていった。
智くんは上を見上げたまま
「見て!凄い星空!」
言われて見上げたらほんとに凄い星空で見とれてしまった。
「翔くん風邪引いちゃうよ?」
急いで体を洗って湯船に浸かった。