第14章 高揚と拒否
ゆっくりと深呼吸をして、顔を上げた。
「これを話すのは、私の力ではどうにもならないからです。すでにこの世界にも、異変は起こっています。おそらく、私がいた世界でも異変が起きているかと」
『異変と言っても、明確にどんな事なんだ?』
「まずは、海での遭難率の高さです。他国でも行方不明者の数は確実に増えているでしょう。その人々は…」
『人々はなんだ』
「…前にも同じ事がありました。歩いていた人が角を曲がると忽然と消える。見たこともない物質が突然現れる。人々は、原因を探るため糸でお互いを結んだり。結果、ある人物にたどり着きました」
『ある人物?』
「名前を蒼(あおい)。私と生き別れた…弟です」