第11章 苦しみと推測
ジャーファル視点
『紫水が私を助けられたのは、人魚だから…ですか?』
【そう、普通の人間ならブクブクに膨らんでドザエモンさ】
確かにあの嵐なら、普通の人間は死んでますよね。
考えただけで、背筋がつめたくなる。
【それよりも、魚がいい具合に焼けてるな。ジャーファル】
嫌な予感が…
【悪いが、主を呼んできてくれ(ニッコリ)】
うわぁ…笑顔が憎たらしい。
『…紫が行けばいいじゃないですか』
【いやぁ…魚が焦げないように見てるから、頼むよ】
頼むよって…
私が行っても、何が出来るのか…わからないのに。
───
紫視点
難しい顔をしながらも、ジャーファルは主を呼びに行ってくれた。
【頼むぞ、ジャーファル。主が悪夢で魘されて、それを沈める事が出来たのは…お前だけなんだ】
小さくなるジャーファルの背中を見ながら、願いをこめた。
阿近もギンも、私も。
ずっと近くに居たのに、ダメだった。
主も、少なからずジャーファルに気を許してる。
無自覚だから、後は本人が気づくしかない。
主。
もう100年も待ったんだ。少し位、自分を許しても良いと思う。
少しずつでも、主には幸せになってもらいたい。