第10章 能力と目覚め
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──バシャッバシャッ…
「……ゲホッ……ジャーファルさん!!しっかりして下さい!!」
あの嵐に巻き込まれながら、何とか小さな無人島へたどり着いた。
とりあえず、日陰にジャーファルさんを寝かせて胸に耳を当てると心音は大丈夫なようだ。
「はぁ…よかったぁ」
気絶はしているが、特に外傷はなかった。
まぁ、当たり前だ。嵐の影響が少ない"海中"を進んできたのだから…
だが、普通の人間にとっては生死に関わる。
でも…あんな嵐の中を海面に出て移動する方が、生死に関わるよ…
「まったく、あのじぃさんのせい…」
嵐?…海?
ー力が目覚めた場所ー
「そういうことね…でも…」
とりあえず、ジャーファルさんをどうにかしないと…
「人工呼吸…するべき…かな…」
うわぁ…女性なら自分的に許せるけど…
男性って…
仕方ない。久しぶりの口づけは、ジャーファルさんにあげるしかないか。
「ジャーファルさん。失礼しますよ」