第2章 .噂をすれば影がさす
月曜日
今日は9時から朝礼がある為、アタシは今運動場にいる。
(そういえば懐かしいな、、、
去年のこの時期にアタシは"アレ"を見たんだ)
"アレ"とは
去年、アタシが中3になってすぐの時。
原因不明のひどい風邪を引いたアタシは、1人暮らしの為頼れる大人も居らず、1人でフラフラ病院に向かっていた。
その時にたまたま通った道が誠凛の前で、男子が何やら屋上で叫んでいる場面を目撃。
なんだなんだと立ち止まって未成年の主張を聞いていると、彼らはバスケ部で、意気込みを叫んでいることがわかった。
当時は運動場を超え、公道を歩いているアタシにまでハッキリ聞こえるその声に感動すらしたものだ。
(男バスねぇ……)
ふと、先週見た光景を思い出す。
(アタシが見たのは、紛れもなく黒子テツヤだ。)
後から知ったのだが、火神、黒子とうちのクラスには2人バスケ部がいた。
それに火神に関しては隣の席だったのだ。
となると黒子は斜め後ろの席になるが。
(困った。アッチは既に気づいてるのかそうじゃないのか…)
「1-B5番、火神大我!
キセキの世代を倒して、日本一になる!!!」
(!?え、何いきなり……まさか、)
全校朝礼も5分後に開始するというところで、屋上から聞こえたのは、火神の声。
(てか、タイガ?日本人に多い名前なのかな…
アタシの友達と同じ名前)
色々考えてたら、今度は河原というヤツが話し出した。
(……長いな)
その後も続き、いつの間にか福田というヤツが喋っていた。その次は降旗。
なかなかいい事を喋っていた。
みんなが完全にバスケ部の意気込みに耳を傾けていた時、漸く教師が屋上に着いたらしく怒声がココまで聞こえてきた。
アタシは男バスに同情するとともに、少しだけ、彼らに興味を持った。