第6章 .笑っちゃうよね?
メガネサンはそのままゴール前までドリブルして火神にパスを出し、誠凛はそのまま点を決めた。
でもまだ21-15、誠凛は6ポイント離されたままだ。
(青峰が来る前に差を縮めて突き放さないと)
第1Qが終わり、4点差で誠凛が負けている状態だ。
アタシは取り敢えずみんなにタオルを配ったりスポドリ渡したり、それ位しかしてあげられなかった。
「データってのは情報が多いほど精度が上がるものよ。日向君達2年生は1年分多く研究されているわ。
その点、2人はまだ情報が圧倒的に少ないし、黒子君は予測困難、火神君は発展途上。
桃井の裏をかける可能性があるとしたら、あなた達よ」
「よし、一先ず頼むぜお前ら!」
「…」
(何か言ってあげた方がいいんだろうか…)
アタシの考えも虚しく、第2Qが始まった
第2Q開始直後、黒子の加速するパス→火神のダンクで点が入った。
「…っ!」
しかし着地の瞬間、火神は完治したハズの足をまた痛めてしまったらしい。
「センパイっ!!」
アタシは試合中にも関わらず、監督のコトをセンパイと呼んでしまった。だがそんなコトは今はどうでもいい。
「!…分かってるわ。緊急事態よ!小金井君、至急アップよろしく!」
誠凛のメンバーチェンジ。火神は自分が呼ばれたことに納得がいかないようだ。
「痛めた足、完治してないわね。」
「っ……大丈夫!…スよ、まだ、全然っ」
「病院でも異常なしだったし、別に出るなとは言わないわ。とにかく、テーピングするわよ」
「あっ監督!アタシがやります!」
「そう?じゃあお願い」
「火神、バッシュ脱いで」
救急箱からテーピングを取り出し、火神の前に跪く。
「足、どの辺が痛い?…ココ?」
「っい゛!?」
(…当たり)
一瞬泣きそうになった後、何すんだよとでも言いそうな顔で見てきた。
「付け焼き刃程度にしかならないけど、マッサージしてあげるからちょっとくらい痛くても黙ってて」