第6章 .笑っちゃうよね?
「ひかりちゃん、心配だから火神君の方見に行ってもらっていい?」
「はい。モチロンいいですよ」
「悪いわね」
「いえ」
体育館を出て、本校舎に続く渡り廊下を歩く
(火神ドコ)
センパイによると逆立ちで保健室まで歩いて行っているらしい火神。
先程、監督ストップがかかっていたのに密かに練習していたのがバレて保健室で湿布もらってこいと言われたそうだ(その場に居たけどなんとなく人から聞いた風)
と、前方に火神…プラス黒子
何かを話しているようで、火神は普通に足で歩いていた。
(サボりはっけーん)
「ねぇ、何の話してんの?」
「白金さん」「白金」
「火神君に少し、中学時代の話を」
「ふ〜ん」
アタシが話を止めてしまったので、続けるように言った
「キセキの世代も、初めから並外れていたわけじゃありません」
「ただ……青峰君はその中で一番早く、そして突然、開花しました」
黒子の言葉に、中学時代を思い出す
(開花……ねぇ)
アタシはバスケ部を途中で辞めてしまったので、青峰が辞めた後のコトは知らない。
というより、実は青峰が辞める前からアタシはバスケ部に顔を出していなかった。
アタシと火神は静かに黒子の話を聞いていた
青峰はあまり練習に参加しなくなり、ある試合で、黒子にこう言ったそうだ。
『俺に勝てるのは俺だけだ』
途中でバスケを捨てたアタシが口を挟むのは良くないが、アタシがその場に居たら青峰をぶん殴っていただろう。
(なにそれ厨二こじらせたの?
俺に勝てるのは俺だけ?…笑うわ)
そんなコトを思いながらも、顔は笑っていないのだが
黒子は続けて言った
「その年の大会は、青峰君の力で圧勝しました。けどそれから他の4人も変わっていって、3年の全国大会でのある出来事をきっかけに
僕は帝光バスケ部を辞めました」
「ふーん。
ま、一言言わせてもらえば、チョーシのんなボケっ…てぐれーだろ。
強くなり過ぎてつまんなくなった?
『俺に勝てるのは俺だけ?(バカにした風)』
キセキの世代はそんなんばっかか!」
「へそでコーヒー沸くぜ」「お茶です」
「…」(なんのコントだよアメリカンか!)
「サクッと勝って、目ぇ覚ましてやらァ!」
新しい光と影の、結束の瞬間を見た。