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HQ商社、営業日誌。

第4章 ep Satori Teodo forValentine




その後、俺たちは場所を変えながら何度も何度も交わりあった。

最後の方なんか梢チャン、理性なんてなくして喘ぎ声しかあげられなかったもんね。
さすがに明日も仕事だから終電もあるしシャワー浴びて帰らなきゃ。
気を失った梢チャンを起こしシャワーに行かせて10分。

また寝たんじゃないかと心配になった頃にカノジョは部屋に戻ってきた。

お互い着替えを済ませ、部屋を出た。




「さっぶ!」

つい声に出してしまうくらい外は寒くて、さすがにコート以外の防寒具を買わなきゃなと思いながら手をポケットにしまおうとした。

ふわり。

後ろからふわふわな何かが首を覆う。

『使ってください。』

首元を触れば肌触りの良い朱殷のマフラー。

『あとこれ…』

そう、差し出してきたのは皮の手袋。

それと、小さな、手のひらサイズの箱。

それを差し出す梢チャンの顔は真っ赤で、なぜかつついて遊びたくなった。


まあしないけど。

「ん…アリガト。」

小さな箱をカバンにしまい、ふと思った疑問を口にした。


「今日、バレンタインじゃん?他の男のお誘いとかあったんじゃないの?」

そう聞けば梢チャンは、ふ、と目をそらし改めて俺を見た。


『他の人のお誘いなんて要らないです。』


そう言って梢チャンは自分の手首にちゅっと口付け、笑った。
梢チャンの手首にあるのは先ほどの行為で出来た痣。
痛々しい痣を愛おしそうに口付ける姿。




勘違い…してもいい…かな。




先ほど梢チャンが口付けた手首を掴み、自分の方に引き寄せる。

小さな体が俺の胸に収まる。


小さく戸惑う声。


赤く染まる顔。


『天童…さん?』

「覚…って呼んでよ。」

『…さとり……さん。』

心地よく耳に届くカノジョの声。
俺はさっきよりも強く、カノジョを胸に抱きしめた。




俺の腕から、離れていかないように。





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