第1章 今まで
そして、幼い頃から私は身体が弱かった。
すぐに熱出るし、風邪ひくし、はやりの病には必ずと言っていいほどかかる。
バンはそんな私の傍にずっといてくれた。
けれど、いつの日にか一緒にいる時間が随分と減った。
朝、挨拶をしたらどこかへ行って…夜に帰ってくる。
時には帰ってこない日もある。
仕方ないのはわかってる。
きっと、仕事とかだと思う。
生きるために仕事しないとだし…
けど、もうずっと寂しくて…胸の奥がポッカリと空いていた。
私は、バンさえいてくれたらそれでよかった。
寂しいのには耐えられなかった。
家の外に出たいけれど、バンが許してくれない。
何かあったら困ると外出禁止状態である。
今日は早く帰ってきてくれないかなぁ。
いつもそんなことを考えながら、私は時間が過ぎるのを待っていた。