第1章 今まで
「ん…」
朝、窓から太陽の日差しが入ってきて自然と目を覚ます。
「お、♪はよ♪♪」
「バン、おはよう」
身体を起こし、バンに挨拶をする。
「これ、朝メシで、こっちは昼メシだ♪夜には帰ってくるから待ってろよ♪」
バンはいつものように私の頭を撫でると家から出て行く。
「いってらっしゃい」
ベッドの横にあるテーブルの上には、出来立ての朝ごはんが置いてある。
私は、それを手に取り口に運ぶ。
…味がしない。
いつからかな、料理を美味しいと感じなくなったのは。
バンとご飯を食べなくなった最近では一人で食べている。
一人で食べるご飯は美味しくない。
味気のない食事を済ませ、薬を飲みベッドに寝っ転がる。
「つまらないなぁ…」
バンとは、小さいころから一緒にいた。
私の両親は幼い頃に亡くしたから、バンが私の家族のようなものだった。